採用と選考についての勉強の日々

企業は欲しい人材を獲得できて、求職者は自分に合った仕事をみつけることができる。そんな適切なマッチングを目指してHR分野について日々勉強をしております。

倫理憲章を読み解く ①

■これまでの流れ

 

2016年9月12日に、経団連から2018年卒に向けた説明会解禁期間と、採用面接解禁期間解禁の方針が正式発表された。


15卒以降、2年連続で「選考活動開始日」に変更があり多くの混乱を招いたが

今年はスケジュール変更がないために学生側の困惑は少なそうだ。

 

ただ、個人的に気になるのは、そもそもの【倫理憲章】。

この檻はどのような経緯でどのような効力を持ち日本の就職活動に影響を及ぼしているのだろうか。

 

経団連がそもそも「倫理憲章」なるものを制定したのは19年前1997年に遡る。

当時は正式内定を10月1日として定める他、全体のスケジュールに対しての記述はなく

あくまで学事日程を尊重した上での選考活動を行うようとの要請に過ぎなかった。

 

倫理憲章の基礎となったのは、日本経営者連盟(=日経連)が1953年に出した「就職協定」。また、その就職協定の礎になったのは大手企業・銀行・行政間でとりきめられた協定だ。

その歴史については学情のサイトにかなり詳しく記載があるので参照頂ければと思う。

service.gakujo.ne.jp

 

■近年の倫理憲章の扱われ方

 

近年の流れをピックアップすると、

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広報活動についての制限を設けたのは比較的近年であることがわかる。

こういった企業間での取り決めが加速する背景には、採用市場を取り巻く様々な社会の変化が大きく影響している。

経団連加盟企業が優秀な学生に唾をつけて自社に招き入れる仕組みは、

明治期から学校推薦などでシステムとして確立されていた。

自主応募が始まったのも1968年ごろからで、

この頃から協定を無視した青田買いが多く進むようになった。

そこから紳士協定である就職協定、倫理憲章へと発展していく。

 

倫理憲章については急速なIT革命・就職ナビサイトの誕生による、

容易なエントリー活動・学生と企業が自由に接点を持てる時代に対応する形で枠組みを修正していくこととなる。

 

就職活動に自由度が増えることで経団連非加盟企業でも優秀な学生を獲得できる機会が増えた。

 

経団連は、経団連加盟企業が学生の獲得で不利益を被らないように、

選考時期の見直しを行うなどの対応を積極的に行っている。

事実2016年卒のスケジュール変更は首相から経済3団体に指示があった内容になっているが、2017年卒のスケジュール案については経団連が指針変更に大きく舵をとった流れになっている。

基本的な考え方は「長期化する就職活動/採用活動」への問題視とのことだが、

私は内定辞退・エントリーの減少などでイレギュラー対応に企業が迫られたが、

8月以降でないと具体的な策を打てなかったことを受けて、早めの選考解禁にすることで第二クールで採用活動を収束できるような枠組み作りを意図したのではないかと考えている。

昨年と比較しても広報解禁から選考解禁まで日程が詰まったことで学生が実際に足を運んで 選ぶ期間については短くなったため、適切なマッチングが行われているかは疑問である。